増税ポイント還元の期限と思惑

2019年10月1日から消費税が増税され、10%になりました。

そして軽減税率やポイント還元など複雑な税制が話題になりました。

その中でも消費者に最大5%が還元されるポイント還元制度(正式名称はキャッシュレス・消費者還元事業)は、目玉に位置づけられます。

ポイント還元制度の内容を、まずは参照しましょう。

キャッシュレス決済を中小店舗でした場合、消費者に最大5%還元されるという制度です。

キャッシュレス決済はクレジットカード・電子マネー・QRコードなどでの決済となります。

政府はキャッシュレス決済事業者を選定し、中小店舗はその事業者に登録して端末などを提供してもらいます。

消費者が対象店舗でキャッシュレス決済をすると、決済事業者から消費者にポイントを還元します。

そしてその負担分を、政府があとから補助する形になります。

ポイント還元制度は2019年10月1日から、2020年の6月30日までの9ヶ月間です。

それ以降は還元されず、通常の10%となります。

消費税増税は過去に、需要減を引き起こしてきました。

1997年の3%から5%増税で、日本はデフレに陥るほどの需要不足となりました。

2014年の5%から8%への増税でも、リーマン・ショック級のGDPの落ち込みがありました。

政府の体裁は増税による需要減を防ぎ、経済に対するダメージを最小限にするということです。

本当でしょうか?

消費税は10月1日に上り、そしてポイントが還元されなくなる6月30日にもう1度ダメージを受けます。

2020年の7月以降に、需要減を先延ばしにしただけなのです。

還元される金額も9ヶ月間で2800億円程度と予測されています。

2800億円程度では、さして効果がないのではないか?との見方もあります。

ではポイント還元の本当の思惑とはなんでしょうか?キャッシュレス化の推進と、決済業者へのレントシーキングではないか?と解釈可能です。

キャッシュレス化で日本は20%です。

中国は60%、アメリカは40%ですので、日本はキャッシュレス化で大きく遅れていると言われます。

しかしキャッシュレス化の遅れは、キャッシュレス先進国だけを見た場合という点に注意が必要です。

日本は20%ですが世界で10番目にキャッシュレスが進んでおり、ドイツより順位が上です。

キャッシュレス化で生産性向上という主張もありますが、ドイツはキャッシュレス化が進んでいませんがEUの勝ち組国家です。

キャッシュレス化と生産性に、相関関係は薄いのです。

決済事業者へのレントシーキングであった可能性が、もっとも高いのではないか?と思われます。

決済端末は来年6月以降は、決済事業者への手数料を払う機械へと化します。

キャッシュレス端末の利用や決済事業者との契約は、一度加盟するとなかなか抜けられません。

抜けるにはスイッチング・コストが大きいからです。

レントシーキングとは民間企業が政府に働きかけ、自分たちに都合の良い規制緩和や法改正を行うことで、超過利潤を得ることです。

キャッシュレスポイント還元で誰が得をするのかを考えると、消費者でも中小店舗でもありません。

期限以降も決済端末を使い続けさせられる、決済事業者です。

海外でも消費税は存在します。

生活必需品などに対する軽減税率もあります。

しかしキャッシュレスによるポイントの還元のような制度は、税の公平性に反するので存在しません。

特定の消費者だけが還元を受け、スマートフォンやクレジットカードを持たない高齢者は還元を受けられないというのは、非常に不公平ではないでしょうか。

表向きは需要減少の軽減、キャッシュレス化の推進が目的です。

本当の思惑と目的は、レントシーキングだったのではないでしょうか。